診療科目

アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん)

年齢によって皮疹に特徴がありますが、いずれも強い搔痒を伴い季節によって増悪と寛解を繰り返します。 乳幼児:頭部、顔面の皮膚が赤くなったり、剥がれてかさかさになったり、盛り上がって水疱が出現し、次第に体幹に広がります。 小児期:皮膚全体が乾燥して皮膚の柔軟性がなくなり肘、膝、腋窩などにひっかくことで皮膚が盛り上がってくるようになります。 成人期:引っ掻いたことによる皮膚の盛り上がりがさらに進行、拡大して上半身を中心に広範囲にわたって暗褐色、乾燥した皮膚になります。

ざ瘡(にきび)(ざそう(にきび))

10~30歳までの青年期の男女に多く、顔面、背部、前胸部などの皮脂の分泌が盛んな部分に好発します。要因としてはホルモンバランス、皮脂、角質異常、細菌感染が重要で、これに加え年齢、食事、ストレス、化粧品などの外的因子が複雑に関与しています。

湿疹・皮膚炎(しっしん・ひふえん)

かゆみを伴う浮腫性の紅斑を形成し続いて紅斑上に丘疹ないし漿液性丘疹が出現します。そして小水疱や膿胞、びらん、痂疲、鱗屑、を形成して治癒に向かいます。 外的要因(薬剤、花粉、ハウスダスト、細菌)が皮膚から侵入した際に、異物を排除しようと炎症反応が引き起こされますが、その反応の程度や様式は内的因子(健康状態、皮脂腺の状態、発汗状態、アトピー素因など)によって規定されるため、これらが湿疹の症状の多様性を生み出していると考えられています。

蕁麻疹(じんましん)

突然、境界明瞭な円形(楕円形)あるいは地図状のわずかに隆起した膨疹、発赤を生じ、激しい搔痒を出現します。全身のどこにでも発生しますが、摩擦あるいは圧迫されやすい部位に生じる傾向にあります。通常数時間~24時間以内に消退しますが、紅斑や軽度の浸潤局面が数日間持続する場合も珍しくありません。

皮膚瘙痒症(ひふそうようしょう)

明らかな皮疹がないのにもかかわらず、強い搔痒を呈する状態になります。腎機能障害、肝機能障害など種々の疾患を背景に出現することがあり、掻把によって二次的に湿疹性病変や苔癬化、色素沈着などを認めます。また、ドライスキンを伴い冬季の就寝時などに増悪しやすくなります。

白癬(水虫)(はくせん(みずむし))

真菌の一種である皮膚糸状菌が皮膚に寄生して生じるものになります。通常は角層、爪、毛包に寄生して病変を生じる。そこから真皮や皮下組織に炎症が波及することやステロイド外用などの不適切な使用で真皮や皮下組織に菌が増殖することもあります。

円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)

若年者に好発します。大部分は頭髪に生ますが、眉毛、ひげ、四肢の毛などに認められる場合もあります。前駆症状や自覚症状を欠き、突然に境界鮮明な脱毛班が出現したり、直径は3cmの円形ないし楕円形で通常は単発性ですが多発する例もあります。脱毛班が融合して全頭脱毛症に進行する例もみられます。

乾癬(かんせん)

男性に多く、20歳代と40歳代に好発する炎症性角化症の1つで、頭部、肘部、膝部、腰部などの擦れる部分を中心に皮膚の表面が剥がれ落ちて、赤く平坦に皮膚が盛り上がった状態になります。乾癬皮疹の表面を爪などで擦ると蝋をはがしたような白色鱗屑がみられたり、 鱗屑をはがし続けると、容易に点状出血を認めるようになり、皮疹のない部分に刺激を加えるとその部分に皮疹を生じます。

イボ(尋常性疣贅)(イボ(じんじょうせいゆうぜい))

ウイルスの感染によって生じ、指趾や手背足底に好発して自覚症状はほとんどありません。小丘疹として初発し増大とともに疣状に隆起して数mm~数cm大までさまざまみられます。単発性のこともありますが多くは多発性であり、融合して平坦に盛り上がりを形成することもあります。

多汗(たかん)

エクリン発汗が亢進している疾患。 手掌、足底、腋窩、顔面など体の一部に限局性に汗が多く見られます。緊張や運動などで増悪することが多く、安静時でも蒸発量を超えた発汗を生じ日常生活に支障をきたすようになります。

原発性局所多汗症(げんぱつせいきょくしょたかんしょう)

特に原因がなく体の一部、手のひら、足のうら、わきの下、頭部などに左右対称に汗がでます。ストレスや精神的なことが原因で起こると考えられていますが、詳しいことはまだ解明されていません。過剰な局所性発汗が6か月以上持続していて診断基準6項目中2項目以上を満たす場合に多汗症の診断となります。(Hornbergerらの診断基準)

帯状疱疹(たいじょうほうしん)

神経節に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化により起き、神経支配領域に一致した部位に帯状に疱疹を形成して神経に沿った疼痛が出現します。治癒後も疼痛がしばらくの間繰り返すこともあります。耳周囲に生じた場合には聴覚障害や末梢性顔面神経麻痺をきたすことがあります。

口唇ヘルペス(こうしんへるぺす)

単純ヘルペスウイルス1型の再活性化により、口唇その周囲に好発します。約半数で搔痒や灼熱感、違和感といった前駆症状が現れます。1~2日後には浮腫状紅斑が生じ、中心臍窩を伴う小水疱が集簇して発生、時に融合して不規則な水疱を形成、膿疱やびらん痂疲となります。

性器ヘルペス(せいきへるぺす)

単純ヘルペスウイルス2型が主な原因ですが、単純ヘルペスウイルス1型によるものも増加しています。性行為によって感染することが多く性行為感染症の一種になります。男性では亀頭や包皮、女性は陰唇、会陰部に好発し小水疱や小潰瘍を生じて激痛を伴います。初感染では2~4週間で自然治癒しますがまれに仙骨神経根が障害され排尿障害がみられることもあります。HSV2感染では再発傾向が強く、数週間ごとに皮疹を繰り返すこともあります。

尖圭コンジローマ(せんけいこんじろーま)

ヒト乳頭腫ウイルスなどによって外陰部に乳頭状の丘疹を形成する性行為感染症の一種になります。潜伏期は2~3か月で、外陰部や肛囲にカリフラワー様の小丘疹が多発します。表面が浸潤してときに悪臭を放ったり、巨大に増殖、潰瘍化をきたすこともあります。

粉瘤(ふんりゅう)

皮膚の成分が皮膚内や皮下に入り込み、それが増殖して内部に垢や脂肪がたまり袋状になった状態を言い、中心に黒点状の開口部がみられます。大きくならず自然に消失することもありますが、10cm程度まで大きくなることや、細菌感染を起こし急に増大したり赤く腫れて痛みを伴うようにもなります。

胼胝・鶏眼(べんち・けいがん)

慢性的、物理的な刺激によって反応性に限局性に皮膚が厚くなった状態を言います。胼胝は表層で皮膚の広い範囲に及び通常は無症状ですが、摩擦が加わると軽度の不快感を感じることがあります。鶏眼は皮膚のより深い部分まで達し、限局性で痛みを伴います。

毛包炎(もうほうえん)

毛穴の奥の毛根を包んでいる部分に起こる炎症になります、毛包部にできた微小な外傷、傷や毛穴の閉塞などにより細菌が感染することによって炎症が起こります。皮膚が赤く腫れ、膿が溜まることもあり軽い痛みを伴います。

熱傷(やけど)

高温の気体、液体、個体に触れることで皮膚や粘膜が損傷することを言います。最近は湯たんぽやカイロ、温風器などが長時間接触することで皮膚が損傷する低温熱傷も見られます。

凍傷(しもやけ)(とうしょう(しもやけ))

皮膚が強い寒冷に曝露することで皮膚が損傷したり、血流が悪くなり炎症を起こすこともあります。

日光皮膚炎(日焼け)(にっこうひふえん(ひやけ))

過度に日光に当たることで皮膚が赤くなり水疱が形成されたり、皮膚の痒みや発疹などが生じる状態です。日光によって免疫系が過剰な反応を起こして症状が出現すると考えられています。人によって個人差はありますが、長時間紫外線を浴びることによって肌が赤くなり水膨れになります。しみやたるみなど肌老化を引き起こす原因となりますので、予防するようにしましょう。

接触性皮膚炎(せっしょくせいひふえん)

原因物質が触れた部分に限局して紅斑や丘疹、水疱、びらん、痂皮などが認められます。境界が比較的明瞭な湿疹でかゆみが強い傾向が見られます。刺激物が限局した部分に触れ症状が出現後に掻きむしることによって、刺激物が散布された場合には多数か所に湿疹病変が生じることもあります。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)

頭部や顔面、腋窩など皮脂の分泌が盛んな部位や皮膚が擦れて摩擦を受ける(頚部、肘、膝、乳房の下、陰部など)部分の皮膚が剥がれ落ちたり、皮膚が赤く盛り上がったりする湿疹が出現します。乳児型と成人型がありますが、乳児型は適切なケアによって8~12か月で自然に軽快します。成人型は慢性かつ再発性で睡眠不足や動物性脂肪の多い食事、ストレスによるホルモンバランスの乱れ、マセラチア菌が要因とされています。

皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)

加齢や入浴時の洗いすぎなどにより皮脂や汗の分泌が減少して皮膚が乾燥した状態を言います。皮膚バリア機能が低下しているため外的刺激を受けやすく、炎症が起こり湿疹も形成されかゆみが出現します。冬季など乾燥しやすい時期や入浴時に必要以上に皮膚をこすって洗う習慣がある方の下肢に好発します。

手湿疹(てしっしん)

手湿疹とは、何らかの外的刺激やアレルギー物質に触れることで手に生じる湿疹です。皮膚が厚くなり、紅斑、丘疹、水疱が見られ、亀裂も生じることがあります。美容師、看護師、調理師など薬液や消毒液などにさらされる職業や水仕事の多い方に多く見られます。

汗疹性湿疹(あせもせいしっしん)

あせもは汗の通り道である汗管が汚れなどによって塞がることによって起ります。多汗で起こりやすく、高温多湿環境の夏に大量にかいた汗をそのままにすると、べたついた皮膚にほこりや汚れが付着して汗管を塞ぎ、汗が皮膚の内側に溜るようになり赤い小さな水胞がみられかゆみを感じるようになります。

異汗性湿疹(いかんせいしっしん)

手や足底に限局して、突然小さな水胞が左右対称に多発しかゆみや痛みを伴う状態です。最初は小さな水疱のみですが、徐々に大きくなりかゆみが強くなります。さらに放置すると水疱が集まり大きくなり赤く、じくじくとなり、皮膚が剥がれ落ちてきます。皮膚のバリア機能が障害されるため、感染などを合併するリスクもあります。

結節性痒疹(けっせつせいようしょう)

強いかゆみを伴い孤立性に硬い5mm~2cm大に皮膚が赤く盛り上がってきます。青年期以降の女性に好発し、肩や腕、足、首や体幹にも生じ、強い痒みを伴います。皮膚をかくことによって、皮膚病変はさらに悪化して痒みの部分が広がることもあります。それぞれの皮疹は融合することはありませんが、長く残る場合もあります。

色素性紫斑(しきそせいしはん)

中年の下肢に好発する原因不明の病気で、点状出血や毛細血管の拡張が見られ皮膚は紅褐色に変化して残るようになります。全身に広がることはありませんが、慢性的に増悪と軽快を繰り返し、大腿や殿部に広がることもあります。皮膚の変化が主な症状ですが、軽度の痒みを伴うこともあります。

褥瘡(じょくそう)

仙骨部、坐骨、足関節部などが長時間圧迫され血流が障害され皮膚に十分な酸素や栄養が行きわたらないことによって、皮膚および皮下組織が損傷されることによって起ります。圧迫された皮膚に赤く、むくみ、硬くなったあとに、崩れてえぐれた状態となります。深いものでは骨にまで達することもあり、感染を起こすと敗血症に至る場合があります。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏に対称性の小水胞が多発し、やがて水胞内に膿がたまった状態となり、周囲は赤くなり、融合していきます。その後、かさぶたとなり、皮膚がはげ落ちていきます。かゆみを伴い、2~4週で繰り返して発症して慢性に経過して膝や下肢、頭部などに拡大することもあります。