診療科目

男性に多い疾患

女性に多い疾患

男児に多い疾患

女児に多い疾患

悪性疾患

前立腺癌(ぜんりつせんがん)

前立腺は男性にのみある臓器で、膀胱の下方に尿道を取り囲むようにあり、精液の一部を作っています。前立腺からも癌は発生し、前立腺がんは50歳以降、年齢とともに発症数が増えており、男性に発生するがんの中で頻度の高い癌の一つになります。前立腺がん特有の症状はありませんが排尿困難、尿腺細小、排尿時間の延長、頻尿、夜間頻尿が現れ発見されることもあります。進行すると排尿障害に加え血尿や腰痛、骨の痛み、下肢の浮腫などがみられることがあります。 PSA(前立腺特異抗原)採血は前立腺がんを早期に発見するためのもっとも有用な検査になります。早期発見が可能となるため(50歳以上の男性は年に1度のPSA検査をお勧めします。)

膀胱癌(ぼうこうがん)

膀胱に発生する腫瘍の90%以上が悪性であり、男性2~3:女性 1の割合で男性に多く認められます。症状は尿が赤くなる(血尿)が多く、頻尿や排尿時の痛み、違和感、残尿感などが最初の症状として見られることがあります。膀胱がんに特徴的なものは、痛みや他の症状を伴わない血尿です。血尿がみられるが他に症状がなく、自然に改善する場合もあり、放置していると受診しない間に進行してしまうことがあるため血尿や気になる症状がある場合には泌尿器科の受診をしましょう。 PSA(前立腺特異抗原)採血は前立腺がんを早期に発見するためのもっとも有用な検査になります。早期発見が可能となるため(50歳以上の男性は年に1度のPSA検査をお勧めします。)

腎癌(じんがん)

腎がんは腎臓にある細胞から発生したがんになります。腎がんも50歳以降に増加する傾向にあります。初期にはほとんど症状は見られず、健康診断やエコー、CTなどの画像検査によって偶然発見されることが多くあります。増大したり進行すると側腹部に腫瘤を触れたり、発熱、倦怠感、貧血、体重減少、血尿、側腹部・背部の痛みなどの症状がみられることがあります。また、肺や骨、脳などに腫瘍が先に見つかり詳しく検査したところ腎臓に癌が見つかることもみられます。

腎盂尿管癌(じんうにょうかんがん)

腎で作られた尿が最初に流れる部分を腎盂と言い、腎盂から膀胱まで尿を運ぶ管を尿管と言い、その部分に発生する癌が腎盂尿管がんになります。膀胱がんと同じく男性に多く見られ、高齢になるほど発生頻度は高くなり50~70歳代に好発します。症状は膀胱がんと同様に多くは肉眼的血尿をきっかけに診断されます。腫瘍が進行、増大により尿の流れが悪化して腎盂、尿管が拡張することで側腹部痛や腰背部痛を認めることもあります。

精巣がん(せいそうがん)

精巣腫瘍は男性の悪性腫瘍の1%程度と比較的まれな腫瘍ですが、15~35歳の男性においては最も多い悪性腫瘍になります。初期症状は精巣が大きくなる、硬く触れることが主で、痛みは伴わないことがほとんどです。他に鼠径部の鈍痛、下腹部の重苦しさ、鈍痛などもあります。進行すると、陰嚢の腫大や転移部位により腰痛や呼吸困難などが起こる場合もあります。

良性疾患

前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)

前立腺が肥大して尿道を狭くすることで起きる疾患で、尿が出にくくなる、トイレが頻回になる、排尿してもすっきりしなくなる、夜に何度も排尿に起きるようになるなどの症状が現れます。病状が進行するとトイレに行っても尿がすっきり出なかったり、出始めてから終わるまでのだらだら時間がかかったり、すっきり出ないためすぐにまたトイレに行くようになります。国際前立腺スコア(IPSS)は前立腺肥大症や前立腺癌に対する排尿症状の評価法になります。残尿感、頻尿、尿腺途絶、尿意切迫感、尿勢低下、腹圧排尿、夜間排尿回数の7項目で評価します。早期に内服治療を開始すると改善されることが多いですので、気になる場合や日常生活に支障がある場合には早めにご相談ください。 PSA(前立腺特異抗原)採血は前立腺がんを早期に発見するためのもっとも有用な検査になります。早期発見が可能となるため(50歳以上の男性は年に1度のPSA検査をお勧めします。)

尿路結石症(にょうろけっせきしょう)

腎臓から尿道までの尿路に結石が形成される疾患で、結石の場所により腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれます。健診やほかの検査にて発見されることもありますが、痛み、血尿などの症状がみられることもあります。 尿管に結石が落ち込み尿の流れをせき止めると側腹部、背部、腰部、下腹部に激しい痛み、吐き気などが現れます。5mm以下の結石は自然に排石されることが多いです。10mm以上の結石は破砕術が必要になることもあります。

神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)
過活動膀胱(かかつどうぼうこう)

膀胱は脳、脊髄、末梢神経によってコントロールされています。神経の働きによって尿をためる(蓄尿)、尿を排泄する(排尿)機能が保たれています。症状は神経の障害される部分によって異なり、膀胱が過敏になり、勝手に収縮することにより頻尿、尿意切迫感(急に尿意を感じてがまんできない)、切迫性尿失禁(トイレまで間に合わず汚してしまう)などの症状や膀胱の収縮が障害されることにより排尿困難(力まないとでない)、残尿感などの症状が出現します。 過活動膀胱スコア(OABSS) によって判定が可能で、頻尿、夜間頻尿、切迫感、切迫性尿失禁の程度によって重症度を評価します。蓄尿の障害か排尿の障害かを問診や排尿の評価、検査を行い確認して治療を開始します。

尿失禁(にょうしっきん)

尿失禁は自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態で、40歳以上の女性の4割が経験されています。重い荷物を持ち上げたとき、咳やくしゃみをしたときなど力んだ時に尿がもれてしまう腹圧性尿失禁は加齢や出産を契機に出現したりします。急に尿がしたくなり、トイレまでがまんできず下着を汚したり漏れてしまう切迫性尿失禁は脳の障害などが原因になる場合とストレス、過労など精神的な影響で出現することがあります。 治療は生活習慣の改善、骨盤底筋体操、薬物療法があります。内服治療にて改善しない尿失禁の場合には干渉低周波治療を導入しています。体内深部で発生した低周波が膀胱周辺の筋肉、神経を刺激します。会陰部の体性神経を介して反射的に骨盤神経の遠心性活動を抑制し、排尿収縮運動を抑制すると考えられています。

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)

陰嚢内部に液体が溜まった状態を言います。大人になってから出現する後天性の陰嚢水腫は原因が不明のことが多いですが、炎症や外傷が原因になるとも言われています。通常は片側もしくは両側の陰嚢が大きくなりますが、痛みは発熱などの症状はみられません。放置するとさらに大きくなり、歩きづらさや座った時の違和感などが出現します。

感染症

膀胱炎(ぼうこうえん)

細菌が膀胱内に入り、膀胱の粘膜に炎症を起こす病気で排尿時の痛み、頻尿、残尿感や下腹部の違和感がみられます。女性に多く、男性がなることは稀ですが、男性の場合には前立腺肥大症や排尿障害などの原因となる疾患が潜んでいる場合がありますので治療後に尿路の精査や排尿評価が必要な場合があります。治療は尿検査を行い適切な抗菌剤を使用します。通常は数日で症状は改善しますが水分を多く摂取しないと改善せず重症化することもありますので、水分を多く(1日1500~2000ml)取りましょう。

急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)

大腸菌などの細菌が腎盂に入り込み増殖することで起こる感染症です。本来、腎盂尿は無菌状態ですが、膀胱炎などから、菌が尿管、腎盂へと逆流して腎盂内に入り込み炎症を起こすことで症状が現れます。膀胱炎のみであれば排尿時痛、頻尿、違和感などの局所の症状が現れますが、腎盂腎炎になると局所の症状に加えて高熱、悪寒が見られるようになります。糖尿病や排尿障害、尿管結石症などの疾患がある場合には重症化する場合があります。さらに悪化すると尿中の細菌が血管内に入り込み、腎機能低下や敗血症などを起こし命に係わる重篤な状態まで進行する可能性がありますので、注意が必要です。

慢性前立腺炎(まんせいぜんりつせんえん)

慢性前立腺炎は前立腺に炎症が生じて、下腹部から下半身にかけて様々な症状が現れます。会陰部、腰部、骨盤部、尿道、鼠径部、下肢、大腿などの痛みを感じたり、頻尿、残尿感、尿の勢いが弱い、排尿時の痛み、射精時の痛みなども認めることがあります。 原因は、はっきりと解明されていませんが、前立腺周囲の血流障害や、排尿障害、神経異常などの様々な要因がかかわっていると考えられています。症状を悪化させる要因として、長時間の座位(デスクワーク、自転車、バイク、自動車の運転)、精神的ストレス、疲労、喫煙、過度の飲酒などがあげられます。 NIH慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI) によって痛みや不快感、排尿症状、症状の日用生活への影響を評価して重症度や治療効果を判断します。

精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)

精巣上体は精巣上部にあり、精子を精管へ輸送する器官になります。高齢者の場合には前立腺肥大症や膀胱結石などの疾患によって尿中に細菌が増殖し、精管を逆流して炎症を起こすことで発症します。若年男性では性行為感染症の原因菌によって炎症を起こすことによって発症することがあります。発症すると、陰嚢が赤く大きく腫れて、圧痛、強い持続する痛み、高熱がみられます。抗生剤投与が治療になりますが、排尿障害などの基礎疾患が存在すると抗生剤投与のみでは改善せず、入院や原疾患対する追加治療が必要になることがあります。

尿膜管膿瘍(にょうまくかんのうよう)

尿膜管は胎児期に膀胱と臍をつないでいた管で、胎児の老廃物を母体側へ排泄する通り道となり、胎生4~6週に退化して索状化し交通はなくなります。まれに内腔が閉鎖せずに空洞状態になる場合があり、そこに何らかの原因で菌が入り込み炎症を起こした状態を尿膜管膿瘍と言います。症状はへそから膿が出たり、臍周囲や下腹部の痛み、へそからの悪臭が出現します。感染を繰り返す場合や、コントロールが難しい場合には手術をお勧めすることもあります。

小児泌尿器科

真性包茎(しんせいほうけい)
仮性包茎(かせいほうけい)

包茎とは包皮の先端が狭い、包皮と亀頭が癒着している状態を言います。 仮性包茎は勃起時や用手的に亀頭の露出が可能な状態ですが、真性包茎は包皮が狭かったり、包皮と亀頭が癒着しているため亀頭の露出ができない状態になります。亀頭が包皮に覆われているため不潔になりやすく炎症を起こしやすくなります。年齢とともにむくことができる子の割合が増えていき、思春期を迎えるころにはほとんどが亀頭が露出できるようになりますが、包皮の先端が狭すぎる場合には治療が必要になることがあります。

停留精巣(ていりゅうせいそう)
移動精巣(いどうせいそう)

精巣は胎生期に腹腔内で発生し、生下時近くに鼠径管を通って陰嚢内まで下降してきます。精巣の下降が不完全で陰嚢内に触知しない状態を停留精巣、陰嚢内に下降しているが陰嚢内に固定されていない状態を移動精巣と言います。精子は体温よりも低い状況下で生成されます。陰嚢内は体温よりも低く保たれているため精子が生成されますが、停留精巣の状態にあると精子の生成が十分にされない可能性があります。停留精巣を放置すると精巣の発育も妨げられ不妊の原因となりえますのでしっかりと診断を受けましょう。

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)

精巣周囲に液体がたまり、陰嚢が膨らんだ状態を言います。精巣が陰嚢まで下降する際に、腹膜も一緒に引きずられて降りてきます。生まれるころには腹膜の断端は閉じられていますが、まれに全にふさがらず交通が残る場合があり、おなかの中にある水分が陰嚢内に入り込んだ状態が陰嚢水腫となります。成長とともに腹腔ないとの交通はなくなり消失することが多いですが、2~3歳になっても消失しない場合や繰り返す場合には手術が必要となる場合もありますので診察を受けましょう。

亀頭包皮炎(きとうほうひえん)

精巣周囲に液体がたまり、陰嚢が膨らんだ状態を言います。精巣が陰嚢まで下降する際に、腹膜も一緒に引きずられて降りてきます。生まれるころには腹膜の断端は閉じられていますが、まれに全にふさがらず交通が残る場合があり、おなかの中にある水分が陰嚢内に入り込んだ状態が陰嚢水腫となります。成長とともに腹腔ないとの交通はなくなり消失することが多いですが、2~3歳になっても消失しない場合や繰り返す場合には手術が必要となる場合もありますので診察を受けましょう。

頻尿・夜尿症(ひんにょう・やにょうしょう)

おねしょ(夜尿症)は「5歳以上で1か月に1回以上の頻度で夜間睡眠中の尿失禁が3か月以上続くもの」と定義されます。ほとんどが自然に治るとされていますが、0.5~数%は夜尿が改善しないまま成人に移行すると言われています。夜尿のみでなく昼間の尿失禁、頻尿などの症状を伴う場合もあり、その場合には昼間の症状の治療を優先して行います。15歳以上で1~2%の頻度で夜尿症が持続するとされていますので、夜尿の頻度が多い場合には診察を受けるようにしましょう。

精巣捻転症(せいそうねんてんしょう)

精巣捻転鞘は精巣と精巣に流入する血管や精管が束になっている精索がねじれてしまい血管が締め付けられ血流が途絶することで起こります。思春期の10歳から15歳と新生児に発生することが多いとされています。症状は下腹部から陰嚢にかけての激しい痛みが出現し、次第に陰のうが腫れて大きくなってきます。精巣への血流が滞るため、6~12時間以内に捻じれを解消して血流を回復させないと精巣の機能が失われてしまう可能性があります。 精巣捻転が疑われた場合には、緊急手術が可能な医療機関を直接受診することが重要ですが判断に迷う場合にはご相談ください。

性行為感染症

淋菌感染症(りんきんかんせんしょう)

淋菌(NEISSERIA GONORRHOEAE)による性行為感染症のひとつです。淋菌は粘膜から離れると数時間で感染性を失い死滅することから、粘膜が直接接触する性的接触(膣性行為、口内性交、肛門性交)以外で感染することはほとんどありません。男性では性行為などの感染契機後、2-7日の潜伏期間を経てまず急性尿道炎起こします。尿道口より黄白色調の膿性分泌物が見られ、強い尿道痛、排尿時痛が出現します。菌がさらに体内に侵入して前立腺や精巣上体に炎症を生じることもあり、不妊症の原因ともなります。咽頭や直腸にも感染し炎症を起こしますが、自覚症状がないため発見が遅れたり、無症状のまま性的接触をすることで他者に感染をさせてしまうこともあります。

クラミジア感染症(くらみじあかんせんしょう)

もっとも多い性行為感染症で、クラミジア・トラコマチス(CHLAMYDIA TRACHOMATIS)が原因菌になります。 主に性行為によって感染部位の粘膜との接触や分泌物との接触により感染し、潜伏期は1~3週間で、男性では排尿痛、尿道不快感、尿道の痒みなどの症状が見られますが、淋菌感染症に比べ症状は軽く、分泌物も薄く少量で見過ごされ、精巣上体炎や前立腺炎の原因となることがあります。

尖圭コンジローマ(せんけいこんじろーま)

ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)によって起こされる性行為感染症に含まれる病期です。粘膜が接触することで感染し、微小な傷などからHPVが侵入して発症します。特に皮膚炎などがあったりすると感染しやすいため注意が必要です。潜伏期間の2~3か月後、外陰部などに乳頭や鶏冠、カリフラワー様の小丘疹が多発します。痛みがないため気が付かないこともありますが、放っておくとイボが大きくなり、数も増えていきます。数が多くなったり、大きくなったりすると治療に時間を要することもありますので、症状に気が付いたときには受診するようにしましょう。

性器ヘルペス(せいきへるぺす)

単純ヘルペスウィルス(HSV)による感染症です。男性では亀頭や包皮、女性では陰唇、会陰部に好発し、感染してから5~10日後に水膨れやただれが生じて激痛を伴います。初めての感染の場合には発熱を伴い症状が強いことが多いですが、2~4週で自然治癒します。HSV感染は再発傾向が強く、症状は軽く、全身症状は伴いませんが、数週間ごとに皮疹、痛みを繰り返すこともあります。

梅毒(ばいどく)

梅毒トレポネーマが粘膜から感染することによって引き起こされる病気で、大部分が性行為による感染になります。感染成立後平均3週間の潜伏期間を経て硬い丘疹が出現し、次いで皮膚が崩れえぐれる(潰瘍化)ようになります。痛みなどはない場合が多く、3~6週で自然に軽快します。その後、第2期梅毒発症まで4~10週の無症候期となります。 無症候期後に梅毒トレポネーマが全身に播種されると、微熱や倦怠感とともに紅斑が全身に出現します。肛囲、外陰部、腋窩などに扁平の隆起、口腔内や舌に粘膜病変を形成することもあります。

院長より

性行為感染症、尿道炎の治療には抗菌薬を使用しますが、疾患によって使用される抗菌薬の種類が異なります。また、抗菌薬が効きにくくなった菌が増えていますので、しっかりと通院、治療を受けることが重要となります。大切なパートナーに感染させるリスクや不妊症となるリスクもありますので、疑われる場合や不安な場合には検査を受けるようにしましょう。